ゴールデンウィークといえばラ・フォル・ジュルネ。初日は天気も良く、気温もそこまで上がらず過ごしやすい熱狂(ラ・フォル)日和でした。
行きの電車も空いていて、都内はもぬけの殻のような状態。静まった東京のど真ん中でクラシック音楽の祭典を行うのは大正解でしょう。
東京国際フォーラムに着いたらここだけ別世界のようにすごい人だかりでした。事前にチケット予約せず、現地で見るものを決めようと思っていたら大会場以外のものはほぼ売り切れ、チケット売り場には長い行列。ネット購入の方が早そう(並んでいる間に売り切れそう)なのでスマホで1公演だけ購入しました。予約した時点ではまだ2階S席には空きがあったのですが、開演までにほぼ完売したようでした。ホールAの客席数はたしか5,000席程、それが埋まったのであればクラシック音楽のコンサートとしては異例なのでは。
演目はワーグナーの「ジークフリート牧歌」とメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」。クリスティアン・アルミンク指揮・兵庫芸術文化センター管弦楽団、バイオリン独奏は辻彩奈さんでした。ここで僕のオーケストラ素人ぶりを披露すると、「ジークフリート」はタイトルからしてほぼ初耳、メンデルスゾーンも有名なフレーズは聴き覚えがあるけれども・・・といった程度です。
そんな調子なので曲の良し悪しや演奏スタイル・解釈云々を論じることは差し控えますが、「ジークフリート」ですごいなと思ったのがカメラワークでした。ホール前面にスクリーンが2台設置されていてるのですが、おそらくカメラは3台でしょうか、映し出される映像がことごとく曲に合っている。例えばオーボエのソロパートがあったとすれば、そのフレーズの頭でオーボエ奏者のカメラ映像がピタッと出てきて、そこにバイオリンが続けばバイオリン奏者のエリアをサーっとなめるように移動する、といった具合です。カメラの人も楽譜を見ながらやっているのか?と思うぐらいにぴったりでした。それともクラシック専門の技術者が担当されていたから、これぐらいはお手のものなのでしょうか。そういえば昔BS番組で見たオーケストラ映像もこんな感じだったなあ・・・などと、曲そっちのけでカメラに魅了されてしまった部分もありますが、こういう所にもこのイベントの綿密さというか練度を感じました。もう20年なんですね。
メンデルスゾーンは一度生で聴いたことがあったので、有名なフレーズしか知らない「にわか」から一歩前進しようと意気込んだのですが、ここでは別の問題が・・・。実は隣に座っていた中学生ぐらいの男の子が「ジークフリート」の冒頭からずっと寝続けていて、寝息がとても気になる。一度は寝言を言いかけて起きたから、本当に寝ていたんだと思います。そして聴いていましたアピールが必要だったのか、曲の終わりにはちゃんと拍手をしてご家族と話していたようですが、メンデルスゾーンが始まるや否やまた寝息。流石にあんまりだと思ったので、1楽章の終わり、みんなが咳き込む時に注意しようと身構えていたのですが・・・この曲、繋がっているんですね・・・ホルンでしょうか、ファ〜ンと鳴り続けてからの2楽章開始。「いや、繋がるんかい!」と心の中で自分に突っ込み、隣の彼には声に出して言おうと考えていた注意が出せず、代わりに肩を2・3回つついて起きてもらいました。さすがにその後はずっと起きていてくれたみたいです。足のおっ広げ方などから「オレ様は周りに構わず眠るぜ」的な思春期男子あるあるの自己主張が見え隠れしたので「このヤロー」と思っていたのですが、でもこのおかげで「メンコンは繋がっている」というごくごく基本的かつ初歩的な知識が心に刻まれたのでした。これも一歩でしょうか。
この後は周辺エリアのフリーコンサートを2つ巡って帰途につきました。丸ビルでの「カルメンハイライト」は是非見たかったのですが、あまりの混雑に辟易してしまいリハーサルの一部分だけ見て撤退。立ち見エリアにも入れませんでした。リハーサルなのにこの混雑具合と本番さながらの拍手で、予定が変わってしまったのかと思う程でした。
5日にも再訪して、もう1~2公演見ようと思います。それからクララ・シューマンの曲でマスタークラスが行われるのでこちらは事前予約済み。丸ビルの外にあった遠州ピアノも弾いてみたいです。
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